腕には点滴が刺さっており、ざっと数えても3本ぐらいはあった。
「つっ!」
起き上がろうとしたが、体が痛くて起き上がれない。
何とかして首を下に下げると、そこには誰かがうつ伏せになって、眠っている姿が見える。
(……ずっとここにいたのか?)
不思議に思いながらも、何とか左手を動かし、の頬にそっと触れる。
「……う、うん……、……ユーグ!?」 「ずっとここにいたのか、? 任務はどうした?」 「スフォルツァ猊下に頼んで、休暇をもらったのよ。それよりユーグ、本当に目が覚めたのよね? 大丈夫? 「全身、身動きが取れないぐらいだ。こんな状態で、平気で動いていたんだな」 「そうよ。本当、こっちが呆れるぐらいだったわ」
がため息混じりで言うと、ユーグは少し苦笑して、再び天井を眺めた。
「……あれから、どれぐらい眠っていた?」 「今日で10日目よ。お医者様はもっとかかるんじゃないかって言っていたけど、思ったより早くてよかったわ」 「そうか……。……教皇庁の方は……?」 「もうじき、スフォルツァ猊下と聖下のプラーク訪問があって、その支度等でてんてこ舞いよ。実は私も一緒に同行 「そう、だったのか……。……だとしたら、君の休日を俺が奪ってしまったことになる。すまなかった」 「いいのよ。それに、さっきも行ったでしょ? 『休暇をもらった』って。あなたが目を覚ますまで、ここにいよう 「……ありがとう、」 「どういたしまして」
の笑顔が、ユーグの心を優しく包み込むように温かくなっていく。
「さ、ユーグ。紅茶が入ったわよ。今、ベッド起こすわね」
椅子から立ち上がり、ベッドの下にあるボタンを押して、上半身をゆっくり起こす。
「……懐かしい味がする。ずっと昔、よく飲んでいた味だ……」 「アムステルダムのアッサムよ。今じゃ、あまりお目にかかれない代物だけど、昔手に入れたのが残っていてね。 「そうだったのか……。……」 「ん?」 「……ありがとう」 「その言葉は、ちゃんと怪我が治ってから、また言って。その時には、剣の稽古のお相手するわ」 「それは助かるな。体が鈍っていては、次の任務に支障が出る」 「そういうこと。さ、もう少しゆっくり休みなさい。腕、動かせれそう?」 「この体制なら、大丈夫だ」 「それじゃ、テーブルの上に、これ、置いておくわね」
はティーカップを彼の前のテーブルに置くと、その場から立ち上がり、
外に出て、自動二輪車の前まで行くと、その場で大きく伸びをする。
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他人に起こされると、不機嫌なはずなのに、
何でこんなに爽やかなんでしょうか、この人は(笑)。
アベルが起こしても怒るのに、どうしてなんでしょう?
「ザ・不幸」だけど、アベルみたいな無茶をしない分、まだ安心出来るのでしょうか。
無茶するけど。(どっちだよ)
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