教理聖省長官フランチェスコ・メディチ枢機卿は、
「しかも、! お前もそばにいつつ、何故止めることが出来なかったんだ!?」 「申し訳ございません、メディチ猊下。しかし……」 「この場に及んで、言い訳などするつもりか!?」
そこまで言われてしまうと、さすがのも何も言えなくなってしまう。
「聖下奪回は、異端審問局によって行わせていただく。少しでも手を出したら、お前の椅子はなくなると思え、 「そんな、メディチ猊下! 彼女は……」 「もういいわ、。今は兄上の言う通り、任せた方がいい」 「しかし!」 「お願い、。彼に、全てを託しましょう」
カテリーナにそう言われてしまったら、とてすぐに動くことが出来なくなってしまう。
「兄上、この不始末は、すべて私が責任を持ちます。ですからどうか、Axに負担をかけるようなことはしないで 「……よかろう。ただし、派手な行動をした場合は……」 「十分、心得ております」 「よろしい。ならお前に、ミラノでの謹慎を言い渡す。今回の事件が終わるまで、絶対に戻って来るんじゃない」 「承知いたしました、兄上」
承諾したかのようにカテリーナが一礼すると、そのまま彼に背を向け、出入口に向かって歩き出した。
しばらくの間、2人とも何も話さず、“剣の館”へと向かって歩いていた。
しかしこのままではいけないと思って口を開いた時、彼らはすでに“剣の館”の前まで来ている時だった。
「……このまま、メディチ猊下に任せていいの、カテリーナ?」
の声に、カテリーナは足を止め、彼女の方に向きを変える。
「……前聖下がおっしゃっていましたね。――あなたが昔、特警1つを任せたことがあると」
カテリーナの言葉に、彼女は驚いたように目を見開いた。
「……相変わらず、おしゃべりだったのね、あの方は」 「そうみたいね」
しかし、ここまで来ても、にはカテリーナの糸口がはっきり見えてない。
「で、それが何だって言いたいの? ……まさかあなた、私が指揮を取れというんじゃ……」 「その『まさか』です、シスター・」
カテリーナの言葉に、はさらに目を見開き、信じられないかのように相手の顔を見た。
「ちょ、ちょっと待って、カテリーナ!」 「何か、不都合でもあるのですか?」 「あるわ。ありすぎる」
何かの夢でも見ているかのような顔で、はカテリーナに食いかかる。
確かには昔、前聖下であるグレゴリオ30世の命で、特警の小隊を引き連れて、
「私にはAxを動かすことなんて出来ない。あなたみたいに、あの個性の強い集団、どうやって動かせって言うの 「あら、あなただって、十分個性が強いじゃない」 「そうだけど……」
の不安そうな顔を見て、カテリーナがそっと彼女の肩に手を置く。
「。私を目標にしてくれるのは嬉しいけど、何もかも完璧にやろうとしなくてもいいのよ。今回のことを言えば、 「それは私が……」 「ほら、すぐにそうやって自分を責める。……全くあなたは、アベルとそっくりですね」 「な、何であんなアホと一緒に……!」 「だったら、違いを見せなさい、。アベルとの違いを、はっきりとさせなさい」
カテリーナの言葉は、時に不思議な力を発揮する。
「……分かったわ、カテリーナ。やってやろうじゃない」 「よろしい。それでは早速、メンバーを揃えて執務室に集めなさい。説明は、私からします」 「分かったわ。……カテリーナ!」 「はい?」 「……ありがとう」 「それは、すべてが終わってから言うことですよ、」 「……了解」
の顔に、いつもの笑顔が戻っている。それを確認したカテリーナは彼女に背を見せ、“剣の館”に戻っていく。
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完全オリジナル「FLY HIGH」です。
タイトルは当時、私がカラオケで歌いまくっていた浜崎あゆみの「FLY HIGH」から取りましたって、
そうじゃないだろう(汗)。
今回のは、カテリーナに慰められてばかりです。
彼女にとって、あまりないことですから、このままいい方向に進んで……くれるよね(汗)?
あまり期待もしてないけど(え)。
ちなみに、この話は全て、同じ日に起きていることです。
あ、最後は違うか。
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