「ええ。この名前に、聞き覚えはありますか?」 カテリーナに報告書を渡して、一通りの報告を終えたあと、は彼女が言う名前に耳を傾けた。 アスタローシェ・アスランという名前で、知っている人物は1人しか存在しない。 「……それ、正気で言っているの?」 「ええ、もちろん」 「キエフ候女・オデッサ子爵アスタローシェ・アスランでしょ? どうして知っているの?」 「彼女から貴方指名で、捜査活動の支援をして欲しいと言われていたのです」 カテリーナの言葉に、は目を白黒させた。 「……よっぽどの一大事みたいね」 「理解してもらえて嬉しいわ」 意味ありげな笑みに、は思わず冷や汗をかく。 「で……、そのアストが私を指名した、てことね」 「ええ。けど貴方は他の任務で席を外していたから、アベルに代理で行ってもらうことにしました。 「そうなのね。そっか〜。そうね、アベルなら……って、アベルに!?」 「何か、不都合でもありましたか?」 「不都合も何も、何でアベルなのよ?」 「貴方、以前、自分が他の任務で席を外したら、アベルを推薦してと言ったじゃないですか。それに彼なら、 「ああ、なるほどねぇ……」 確かに、アベルならと同じように、長生種も短生種も区別なく見ることが出来る。 しかし、には1つだけ、疑問が残っていた。それは……。 「……アスト、アベルのアホっぷりについて行けるかしら?」 「それは、ちょっと私も心配したけど、多分大丈夫よ」 「だと、いいんだけど……。……カテリーナ」 「会いに行って来ても構わないわよ」 「え?」 「あなたには、しばらく休暇を与えます。……休暇と言えるような休暇ではありませんがね」 カテリーナが、再び意味ありげに微笑む。一体、何が言いたいのだろうか? 「それって、どういう意味?」 「休暇中に、オデッサ子爵に会いに、ヴェネツィアに行って来なさい。しかし、次の日にはそのまま、 「なるほど、そういうことね。分かったわ。今日あたりでも、彼女に連絡を取ってみる。詳しい資料は、 「資料がなくても、貴方は自分で調べられるのではなくて?」 「……相変わらず、手厳しいこと言うのね、あなたは」 「あら、私はただ、そうするだろうと思って言っただけよ? 違うのですか?」 「……ごもっともです」
心の底からそう思っただった。 |
「FROM THE EMPIRE」です。
アストとの関係は、過去編で明らかにしていきます。
次のシーンでの炸裂な会話もありますしね。
カテリーナには、私も勝てません(汗)。
それが、カテリーナの力なんでしょうけどね。
頑張って耐えろ、!!
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