『間違いない』
プラーク市内にある、とあるカフェにて、はいつも通りにティータイムを過ごしていた。
本来ならば、アベルとトレス、“教授”とともに、
しかし、ただ単にカフェでくつろいでいるわけではない。
「もしこれが本当だとしたら、どうして?」 『その理由は、こちらでも分かっていない。直接聞くのが早いと思われる』 「けど……、聞きづらい質問ね」 『だが、先ほども言ったが、スフォルツァ枢機卿を含むAxの面々に言うかどうかは、いつも通り汝に託す。我は 「確かに。それが今の任務だしね……」
そんなに、すぐには飲み込むことは出来ない。出来たとしたら、それは単なる無責任だ。本人に直接聞こうとも思わないし、聞きたいとも思わない。むしろ、聞きたくないぐらいだ。
「……とりあえず、情報はこのまま伏せておいて、言わなきゃいけない時になったら、ちゃんと本人達に言うこと 『了解した、わが主よ。――プログラム〔スクラクト〕、完全終了……アウト』
プログラム「スクラクト」の声が聞こえなくなると、彼女は電源を切り、ケープの内ポケットへしまうと、
(もしこれが本当だとしたら……、かなり厄介な展開になるわね)
先ほどの情報の内容を思い出し、は再び考え出した。
(……やはり、しばらくの間は言わないでおこう)
『“フローリスト”、応答を要求する』
がそう決心した時、耳元のイヤーカフスから声が聞こえ、相手に知らせるかのようにそれを弾いた。
「聞こえているわよ、トレス。どうしたの?」 『ヴルダヴァ川の河原にて、自動化歩兵というもの6体に遭遇。現在、対処をしている途中だが、人手が足らない。 「聖下とスフォルツァ猊下はご無事なの?」 『両者ともに、無事だ。しかしそれも、どこまで持つか分からない』 「分かった。今からそっちに向かうわ」 『卿の協力、感謝する。――交信解除』
はすぐにその場に立つと、紅茶代をテーブルの上に置き、店の前に止めてある自動二輪車に飛び乗り、
しかし、おかしい。
(……まさか彼が……)
の頭に不安が横切ったが、今はそんなことを気にしている場合ではない。
(何やっているのよ、あのへっぽこ神父は!!?)
は心の中でアベルに向かって叫ぶと、それに気づいたのか、彼がの方を見て、大きく手を振っている。
「さ〜ん! 助けて下さ〜い!!」 「あんたも攻撃出来るでしょうが!!」
右手をハンドルから離し、右側に収めてある銃を取り出し、強装弾装備にして攻撃を開始する。
自動二輪車をリムジンの近くに止め、左側に収められている銃を取り出しながら、すぐに車内の様子を伺う。
「トレス君、後ろにもです!」 「だから、自分で攻撃しなさいって言っているのよ、この腰抜け神父!」 「ウゴッ!!」
アベルに突っ込みを入れつつも、彼が持っている旧式回転拳銃ではそう簡単に倒せる相手ではない。
しかし、が言いたいのは、そういうことではない。
そのアベルの警告に反応したトレスが、右手に持っているM13の銃口だけを背後に回して、
「トレス! ってことは、あとは私だけってこと!?」
トレスの戦闘力が弱まり、あとは1人になってしまった。
とりあえず、1体でもいいから倒し、その場を退散した方がいい。
と、思っていた時――。
「まずい!」
“教授”がシルクハットを脱ぎ捨て、リムジンの上に自動化歩兵の戦鎚が振り下ろされようとしていた。
「これは……、まさか、“ノーフェイス”!?」 「の、ようね。……なかなか、やってくれるじゃないの」
「やっぱりね。相変わらず、お見事だわ、ヴァーツラフ」 「されば、慈しみもて、迷える魂を陰府に導きたまえ。――エィメン。……やあ、1年ぶりですね、アベル。は先日、
Ax最高の派遣執行官と呼ばれるヴァーツラフ・ハヴェル神父が笑顔で答えると、周りが彼に集い始めた。
|
「JUDAS PREAST」です。
とヴァーツラフとの繋がりについて、詳しいことは過去編になるので、この話は置いといて……。
彼女にとって、彼の存在は本当に大きいです。
だからこそ、この後に起きる事実を信じたくないというのはあるかもしれません。
だからこそ、次のような行動を取ることになるのですが、それは読んでのお楽しみです。
(ブラウザバック推奨)