「それが、あなたの本当の姿、ということですね。よくこのようなものをスフォルツァ枢機卿は……」 「さん、ヴァーツラフさんを頼みます」 「……分かったわ」
パウラに発言させないかのように、アベルは静かにに命を下した。
今が出れば、間違いなく暴走してしまい、収拾出来ない状況を招いてしまう。
「ヴァーツラフ、しっかりして……!」
両手を前に翳して、白いオーラが集められていく。 ――しかしそれを、彼はの腕を掴むことで止めてしまった。
「駄目よ、ヴァーツラフ! そんなこと、絶対にさせないわ!」 「いいえ……、今のあなたの役目は……、私を助けることではありません……。あなたの今の役目、それは……、
アベルとが来る前、パウラは噴進爆弾の発射タイマーをセットし、制御卓を破壊して自爆させようとしていた。
「あの噴進爆弾のタイマーは……、一度入ってしまったら、誰にも停止させることが出来ません……。それが例え
最後の言葉に、は再びヴァーツラフの顔を見つめた。
「……、噴進爆弾のタイマーを……、すぐに解除して下さい。これは、あなたにしか出来ないことです」 「ヴァーツラフ……」 「お願いです。どうか……、どうか私の、『最後の願い』を叶えて下さい……」
助けたい。何と言おうと、彼の命を救いたい。
今の自分が出来る、最大限のことを――。
制御卓の液晶画面には、いつでもカウントされるかのように設定されている。
「――私の声が聞こえるか、プログラム『サーカム』? 反応がなければ、貴様の意思に関係なく消去する」
普段とは違い、低い声が響き渡る。
『……話し掛けるとは、いい根性をしているな』
まるで人間の男性のような声が、制御卓から流れ出す。
「プログラム『サーカム』に命ずる。早急にタイマープログラムを解除しろ。さもなくは、貴様にウィルスを送り、 『我のプログラムは、異端審問局でも解除不能なもの。その我に、貴様ごとき女がウィルスを送り込めると言うの 「そうだ。何なら、なってやろうか?」 『いいだろう。いつでも相手になってやる』 「……0010111000101101011……」
の口から、「0」と「1」だけで作られた文章が並べられる。
「……001011101000001101……、ウィルスNo550、始動開始」
結局、聞き取れたのは最後の一行だけで、その言葉と同時に、制御卓の液晶画面の文字が勝手に崩れ出した。
『馬、馬鹿な! なぜ修整が出来ない!?』
プログラム「サーカム」が驚いたような声を出す。
『や、やめろ! やめてくれ!! 我の負けだ!! すぐに解除しろ!!』 「……なら、私の命令に従うな、プログラム『サーカム』?」 『も、もちろんだ! 従う! 従うからやめろ!!』 「なら、すぐにコード入力コマンドを出せ。そして私のデータを、本体プログラムに通せ」 『分かった』
の命令に、プログラム「サーカム」は急ぐかのように、コントロール・パネルの横のシャッターが開かれた。
「もう一度命令する。すぐにタイマープログラムを解除し、凍結しろ。さもなくば、ウィルスを再生させる」 『りょ、了解いた! すぐにする!!』
「よし。ご苦労だったな、プログラム『サーカム』。貴様の用はこれで終わりだ。――ウィルスNo550、 『!!!』
の言葉に、プログラム「サーカム」は驚きのあまりに声も出ず、
「貴様のプログラムは、もう必要ない。ここで消去する」 『そ、それでは、約束と違うじゃありませんか!!』 「『約束』? そんなものをした覚えはない」 『そんな……! ちょ、ちょっとお待ちを、わが主よ……!!』 「そう呼ぶのはやめろ。呼んでいいのは……、『彼』の使いの者達だけだ」
『……お久しぶりです、様。その後、お変わりありませんか?』 「見ての通りだ。すっかり怠けたものだな。昔だったら、こんな遠回りなどせず、とっとと削除したのだが」 『仕方ありません。私が異端審問局に輸送され、すぐにプログラム〔サーカム〕によって封印されてしまった身
先ほどとは違い、透明感のある声に、は懐かしさを感じていた。
「早速だが、やれるか?」 『準備は、プログラム〔サーカム〕のお蔭でで終わっています』 「なら、すぐに実行しろ。あとの処理はまかせる」 『了解。――タイマープログラムを完全解除し、凍結します――』
「分かっています。今回は、私の負けです。あなた達の指示に従い、この場は退散します。しかし――」
「何も言わず、ここから退散しなさい、パウラ。そして、メディチ猊下に伝えなさい。――スフォルツァ猊下は、 「……分かりました。伝えておきます」
「これで……、よかったのよね」 「ええ……。……結果としては、最悪ですが」 「そうね……」
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が持つプログラムは、この当時、“フローリスト”化すればするほど強いものになってました。
力が完全じゃないから、こうするしか方法がなかったから、というのもあるのですがね。
ROMになれば、こんな面倒な作業をすることなくいきます。
ちなみにサーカムとは、過去に私が唯一かかった史上最悪なコンピューターウィルスの名前です(汗)。
あの時は本当、修正不可能かと思いました。
無事に治ってよかった(滝汗)。
(ブラウザバック推奨)