中では、カテリーナとアベル、そして何やら満足げなケンプファーの姿があった。 「そろそろ、認めたらどうです。人々を滅ぼし、仲間を殺したのは自分だということを。貴方こそ殺戮者です。 「おいおい勝手に人を殺すなよ、長髪野郎。黙って聞いてりゃ、勝手なことばっかりふかしてくれるじゃねえか。 「ガルシア神父! シスター・!」 カテリーナが歓喜の声を上げると、レオンは両手に持っていた“地精”の頭部と、 「レオン・ガルシア、只今参上」 「待たせたわね、アベル。暴走気味だったみたいだけど、大丈夫だった?」 「レ、レオンさん! さんも!!」 アベルもカテリーナ同様、歓喜の声を上げ、結果を察知して顔が明るくなった。 「……なるほど、飛び入りの御登場か」 レオンの持っている機械部品を見下ろしたケンプファーの顔に微笑が消え、少し苛立った様子を見せた。 「大根役者には玩具をあてがっておいたつもりでしたが……、まさか、あなたもご一緒だったとは思いませんでした 「本当はこっちに来たかったわよ、イザーク・フェルナルド・フォン・ケンプファー。けど、ここで私の力まで ケンプファーの口から自分の名前が出て、一瞬、顔をしかめたのだが、 「今一歩のところで……、少し遊びすぎましたか」 「そのようね。ま、自業自得、という奴かしら?」 の声が、冷たく彼の胸に突き刺さる。まるで、「神」からの「天罰」を受けているようだ。 「さすがに、手ぶらで“塔”に戻れないな。――では、お暇する前に、1つ置き土産を差し上げましょう」 ケンプファーは手元の五芒星を光らせると、前触れもなく空中に巨大なクラゲ――“風精”を出現させ、 「何だ、この気持ち悪いのは!?」 「本当、趣味が悪すぎる!」 「気をつけて、レオンさん、さん! 触手は切っちゃ駄目です! 本体の方を……」 「! スフォルツァ猊下!」 同僚に注意を促しているアベルの言葉を聞いていた時、ケンプファーの姿が自分の影で沈んでいき、 「……申し訳ございません、猊下。手ぶらで帰っては、クライアントが納得されませんのでね。ローマは頂き損ね 「やめなさい、・イザーク・フェルナルド・フォン・ケンプファー! そんなこと、絶対に……!」 が銃を発砲しようとしたその時、どこからか轟音をあげて、ケンプファーの両腕が弾け飛んでいった。 壁越しにこれだけの芸当が出来るのは、唯1人しかいない。それは――。 「“拳銃使い”!」 「肯定。――損傷評価報告を、ミラノ公」 壁をぶち破って現れたトレスの着衣は無残に敗れ、人口皮膚のあちこちに裂傷が刻まれている。 「さて、これで4対1。……でもって、一番おいしいところは、俺様のもんだ!」 レオンの手から勢いよく戦輪が投げられ、ケンプファーの首に向けられて投げられる。 「おいおい、こりゃ、何の冗談だ」 レオンが憮然として言うと、下からたくさんの人造矮人達の死体が一斉に起き上がり始め、 <……“魔術師”、まだ生きているかい?> 「“人形使い”か……。これは君の“糸”かね?」 <派遣執行官4人相手じゃ、あまりもたないけどね。……ま、脱出するなら、お早目のどうぞ> “人形使い”の笑い声が消えていく中、トレスとレオン、そしての3人が、おのおのの武器を使って、 「……」 ケンプファーはアベル方に目をやると、アベルもケンプファーの目をじっと見つめている。 「“絶望している悪魔以上にみっともないのは、この世にいない”――ゲーテ。まあ、いい。この先、チャンスは
影鬼の死体の中には、なおももぞもぞと蠢いているのもあるが、戦闘力は等に喪失しているため、 「くそ、肝心な野郎を逃がしちまったか。折角、ばっちり作戦立てて降りてきたのによ」 「ずっとその作戦、私に言っていたものね」 「やむを得ない。最終段階での敵戦力の増強は想定外だった。それでもミラノ公の安全は確保出来た。概ね満足す 4人の着衣はそれぞれぼろぼろではあるが、それも戦いを終えた証ともなれば、特に気にすることでもない。 「それで、上は無事なのですね、神父トレス?」 「聖下をはじめ高位聖職者、ならびに市内の建築物の損害はゼロ――、所期の作戦目標は100パーセント達成され 「よかった。……ご苦労様でした、4人とも」 カテリーナの優しげな表情を、どれぐらいぶりに見るだろうか。 「どうしました、アベル?」 「い、いえ、ただ……、ただ、その、とても嬉しくて」 「嬉しい? 何がですか?」 「発言の意図が不明だ、ナイトロード神父。再入力を要求する」 「おい、どうしたんだよ。頭でも打ったか?」 カテリーナとトレス、レオンは不思議そうな顔をしていたが、には何となく、その発言の理由が分かっていた。 「うまく言えないんですけど……、やっぱり、私、ここにいて本当に良かったです」 「……今頃気づいたの? 遅いわよ、アベル」 「そうかもしれませんね」 とアベルの間に、何か見えないものが走っていた。 「あ、やべっ! ここに降りてくる時、衛兵2、3人のしてきちまったよ!」 「そう言えば、そうだったわね。すっかり忘れてたわ」 「肯定――俺もだ」 「事後処理が大変になりそうね。とりあえず外に出たら、ケイトに連絡を入れないと。デステ大司教の身柄を 沈黙を破るように聞こえて来た慌しい足音に、ほっとしたような顔でを含む4人が動き始める。 「ところで神父レオン、衛兵隊の件だが、事情説明は卿に任せた。俺は引き続き周囲の哨戒にあたる。 「ちょっと待て。それって何か不公平――」 「ま、いいじゃないの。我が侭言わずにやりなさい」 墓所を出ながら、そんな会話を続けていると、カテリーナが1人佇むアベルを振り返った。 「……どうしたの、アベル? 行くわよ」 「そうですね……。一緒に行きましょう」
その姿を、カテリーナが微笑ましく、しかし少し羨ましくそう見つめていた。 「本当、2人とも、仲がいいのね……」 |
今回はケンプファーとの絡みは少な目ですが、
今後、と大きく関わることになりますが、それはROM4にて。
、大変なことになりますので。
これで、一応は終わりましたが、まだもう1つあります。
どうぞ、お付き合いを。
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