はす向かいにカフェに座っている男の1人が、レストランから出てきた女性を指差して言う。 「ああ、彼女が例の人だよ、“人形使い”。綺麗な人だろう?」 「本当だね。でも、イザークが忘れるだなんて珍しいね。ついにボケが始まったんじゃないの?」 「私はまだ、そんなに年ではない。だがなぜか、彼女の名前だけは思い出せないのだよ」 ヴェネツィアの時、彼は確かに伝言を預かった。 「何か、気になるね。『あの方』のこと、知っているんでしょ?」 「そうみたいだが、『あの方』は特に気になる人はいないとおっしゃっていた。あまり真剣に考えることではない」 「だといいけど……」 心配しているかのように聞こえる発言だが、本人は真剣に心配などしていない。 「それより……、彼はかわいいね。君がいじめたくなるのも分かるよ、イザーク。顔は煮ていても、性格は『あの 「“人生の半分はしごとであるが、残りの半分も仕事である”――ケストナー。私は仕事をしているだけだよ、 「というか、私情抜きのところはまだ見たことがないんだけど?」 しばらくして、向かいのレストランから、背の高い銀髪の神父が出て来て、 「あ〜あ、あんなに落ち込んじゃって……。イザーク、君、ちょっと苛め過ぎじゃないかい? あれじゃあ覚醒 「この仕事は私の仕事だ。オブサーバーの君にとやかく言われる筋合はない。……それに、彼を舐めることはお奨め 「あれが、“神”ね……。貧乏神かい? 僕にはただの人間か、それ以下に見えるんだけど?」 「人間には700万もの命は奪えない。世界を敵に回し、同肪を敵に回し、そして己すら敵に回すことは出来ない。 細葉巻を灰皿に押し付けたケンプファーの手がかすかに震えていることに、“人形使い”は気づいた。 しかしこの時、“殺戮の神”よりも強い“天使”の存在に、 |
……名前変換がなくてすみません(汗)。
でも、名前が出なくても、誰の話なのか分かるので、それで見逃して下さい。
この2人のやり取り、実は好きだったりします。
何かを探り合っている感じが、読んでて楽しいですね。
書きませんでしたが、「RADIO HEAD」もすごく楽しかったし。
また機会があったら書いてみたいものです。
機会があれば(汗)。
(ブラウザバック推奨)