「そう……。ありがと、フェリー。ごめんなさい、着替えながらになっちゃって。時間がなかったから」 『私は構いません、わが主よ』 教皇庁内“剣の館”には、派遣執行官の自室が用意されている。 『それより、お体の調子はどうですか? 精神的に疲れているようですが』 「何とか持っているわ。これが終われば、少しは楽になると思うんだけど」 僧服をベッドに脱ぎ捨て、クローゼットの前にかけてある服に袖を通す。 「私よりも、アベルの方が心配よ。レオンからの報告を聞いた限りだと、私が思っている以上に参っているみたい 『もし“あの者”がまだ生きているとしたら、貴方様の力が“戻る”まで、ここにいるのが安全です』 「その通りよ。……あ〜、ネクタイって、本当、縛るのが面倒くさいわ」 鏡の前でネクタイを縛りながら言うと、プログラム「フェリス」が微笑ましく見つめている。 『……たぶん、“クルースニク02”は大丈夫だと思われます』 「どうして?」 『貴方様がここにいないといけないのと同じで、あの方もここにいなくてはいけない身です。自分がやめれば 「……さすがフェリーね。カウンセラーになって正解よ」 プログラム「スクラクト」が教育係とるすのであれば、プログラム「フェリス」は精神状態・健康管理係だ。 何とかネクタイを縛り終え、近くにある濃緑のリボンを取った。 『いつもと同じものでよろしいのですか?』 「ええ。……もう昔には、戻れないから」 リボンを縛りながら言う姿は、どことなく淋しく見え、少し後悔しているようだった。 確かにアルフォンソは、“峻烈公”と呼ばれるほど、自分にも他人にも厳しく、 しかし彼は、には異常なまでに優しく、それはまるで「父親」のような感覚さえ与えられていた。 『……大丈夫です、わが主よ』 「え?」 『貴方様がそこまで心配する必要はございません。むしろそうなったお蔭で、“クルースニク02”と共にいられる 「フェリー……」 『それに……、……実は先ほど、プログラム〔スクラクト〕から―――』 <さん、支度、整いましたか?> プログラム「フェリス」の言葉を遮るように、ケイトの立体映像が部屋に出現する。 <さん! 素敵じゃありませんか!> 「ありがと、ケイト。久々だと、少し引き締まるわね」 <そうですね。……あら? 今日は「フェリス」さんなんですね> 『お久しぶりです、“アイアンメイデン”。その後、お変わりありませんか?』 <神父様達が、毎度のこと手がかかることぐらいしかないですわね。――ああ、さん。アルフォンソ大司教が 「分かった、今行くわ。フェリー、スクルーに引き続きよろしくと伝えて」 「了解しました、わが主よ。――プログラム「フェリス」完全終了……、クリア」 は、プログラム「ザイン」を終了させると、電脳情報機の電源を切り、 |
プログラム「フェリス」がここで初登場です。
何故か初々しく見えるのは、私だけでしょうか(え)。
制服はカーキーベースが好きなので、今回もカーキーで。
そして彼女の制服は特注品なので、他の特警とは違います。
当時から特別だったんだな、(汗)。
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