射撃場に、怒涛の銃弾の音が響き渡る。弾を入れ替え、再び撃ち込み、何度もそれを繰り返している。



 あまり射撃の練習はする方ではないのだが、たまにはやらないとやばいだろうと思ったは、
 
強装弾装備(フルロードモード)での撃ち込みに専念していた。その腕前は、さすがと言ってもいいほどだ。




「誰かと思えば、君だったのか、




 ちょうど銃弾を入れ替えようとした時、後ろから誰かに声をかけられ、振り返ってみる。
 そこには金髪で、長いウェーブのかかった男が立っていて、の様子を見ていた。




「あら、ユーグ、練習しに来たの?」

「ああ。そうしたら、隣から銃弾の音が聞こえてね。“ガンスリンガー”かと思ったのだが、違ったようだ」

「トレスは今、ミラノで休養中よ。それに彼ならいつも、“教授”のラボにある射撃場を使うからね。
私もたまにやらされるけど」




 後ろにいる男――ユーグ・ド・ヴァトー神父にそう言うと、は銃弾を入れ直し、そのまま懐に収めた。




「ユーグはこれから?」

「ああ。明日から、アムステルダムに任務で向かうことになったからな」




 「アムステルダム」という言葉を聞いて、は少し顔をしかめた。
 確かに、アムステルダムはユーグの出身地だ。
 土地鑑もあるし、何かと便利かもしれない。しかし……。




「……本当、大丈夫なの?」

「心配している意味は分かっているが、大丈夫だ。ちゃんと任務を終えたら、ここまで戻って来る」

「本当? 約束破ったら、何か御馳走してね」

「分かった、。君の好きなものでも作って御馳走しよう」




 ユーグはを納得させるように微笑むと、そのまま練習室に戻って行った。
 としては少し心配が残るのだが、とりあえず本人が大丈夫と言うのなら信じようと、
 しばらく彼の練習する風景を眺めてから、その場を離れたのだった。






 しかし本当は、これから起こることに対して、少し不安を感じていたのだった。

















「SWORD DANCER」です。
この話は予想以上に短い上、主役のはずのユーグがあまり出てきません(汗)。
ユーグファンの方、本っ当にすみません!!!

過去編で挽回するので、ここでは見逃して下さい。
あとは、短編とかで。





(ブラウザバック推奨)