「大丈夫でしたか、エリスさん?」
「怪我は? どこか痛いところとかはありませんか?」 「……こ、殺したの?」 「……いいえ、動きを封じただけです」 「あ、あなたは一体……、何なの?」 「人間、ですよ……。あなたと同じ、私は人間です」 エリスは何かを感じ取ったのか、おずおずとアベルの手に触れ、そして抱きしめたる。 「あ、ダメですよ。汚れちゃいます」 「うん。でも、もうちょっと……、もうちょっとだけ、このままでいい?」 アベルはエリスの言葉を聞いて、不安げにの顔を覗いてみる。 「……構いませんよ」 ちょっと安心したようにアベルは言うと、エリスの柔らかい髪の上に手を載せると、小さく息を吐いて笑った。 だが、まだ片付いていない問題があった。 「……トレス、まだ彼女が危険だとでも言いたいの?」 「肯定――。俺は言ったはずだ。彼女の意思など関係ないと」 再びエリスに銃口を掲げるトレスを、 「――須く、危険要素は排除すべきだと」 「!」 アベルがエリスを背後に押しやり、が左側にあった銃を抜いたが間に合わない。 「だが、今回に限って言えば……、弾丸切れだ。駆除作業は断念せざるをえん」 「……感謝します、神父トレス」 「無用。――次はない」 トレスの発言に、少しホッとしたは、アベルに隠れていたエリスに近づくと、 「シスター?」 「いいから、じっとしていて」 手を添えたところから、オーラみたいな光が出て来て、エリスが汚した部分を修正していく。 「シスター……、あなたは、一体……」 「みんなと同じ人間よ、エリス・ワズマイヤー。私も、アベルも、トレスも、そして……、あなたも」 「俺は人ではない、機械だ」 「あ、そうだったわね」 が意味ありげに微笑むと、トレスは身を翻し、最後にちらりとエリスの顔を一瞥し、その脇を通り過ぎた。 が、その時……。エリスの脇にあった血塗れの肉の塊が、襲い掛かろうとしていた。 「い、いけない、エリスさん!」 振り上げられた腕には、長いかぎ詰めが忌まわしい光を放っているのを見て、 「まだ動けたの、こいつ!」 「じねええええええっ!」 「エ、エリ……!」 が彼女を後ろに回し、左側にある銃を取り出そうとしたが、間に合わない。 「…………」 次の痛みを覚悟したが、背後から撃たれた銃弾が、吸血鬼の脳幹・頚椎、そして心臓を性格に食いちぎって、 「作戦終了。……撤収する」 “拳銃使い”の声は常と変わらぬ冷たさだった。
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今思うと、は無意識にアベルに妬きもちを妬いているのではないかと思います。
本人、意識してないと思うんですけどね。
さて、どうなんでしょう。
トレスは厳しい中に見える優しさが好きです。
カテリーナの発言が一番、というはどうかと思いますが。
彼とのやりとりは、これからも増やしていきたいですね。
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