食後のデザートも終わり、目の前にはクレアが入れたロイヤルミルクティーが置かれている。 出来るだけ2人の時間を大事にしようということで、 クレアもキリエも、用がある時以外は影でそっと見守っていた。 それを知ってか知らずか、カインは懐から1つの箱をルシアに渡した。 「……これは?」 「君へのプレゼントだよ。何にしたらいいのか分からなかったから、イザークとかに聞いて買ってみたんだけど」 箱には丁寧にリボンがかかっており、 上部に小さな紙で「A Happy Birthday!」と書かれている。 まさか、自分の上司からこのようなプレゼントをもらえるとは思ってもいなかったため、 ルシアの顔にも喜びの笑みが毀れる。 「ありがとう、カイン。開けてもいいかしら?」 「うんうん、開けちゃってよ!」 ルシアの反応が楽しみなのか、カインの顔は笑顔で溢れている。 その顔を見ながら、ルシアはゆっくりとリボンを外し、 丁寧に包装紙を剥がし始めた。 箱の蓋を開ければ、そこからさらに1つの箱が現れ、 その蓋をゆっくり開ける。 そこから姿を現したのは、1つのブレスレットだった。 「とてもきれいな色使いね。私がもらってしまっていいの?」 「もちろん! だから、プレゼントしたんだからさ。あ、ちゃんとつけるんだゾ。ちゃんと仕事に支障がないものを選んだんだからね」 「分かったわ、カイン。……ありがとう。本当に、嬉しいわ」 ブレスレットを取りだし、手際よく左手首につけると、 月の光を浴びてきらきらと輝き始める。 その光に、思わずうっとりしてしまいそうになるぐらいだ。 「カイン」 「ん〜?」 「こんなに素晴らしい誕生日、生まれて初めてだったわ。……本当に、ありがとう」 「大したことないよ。ぼかぁ、その笑顔が見れただけで十分満足だからさ」 満月の月が、2人だけにそっとスポットを当てているかのように、 その辺りだけが光り輝いていたのだった。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 「ふあ〜、疲れた〜!」 部屋に戻って来るなり、クレアはフラフラになりながら、 リビングのソファにダイブした。 さすがに、2日連続ナイトタイムは体に答えるらしい。 「戻ったのですか、クレアさん?」 「う〜ん。アベル〜、水ちょうだ〜い。冷たい奴〜」 「分かりました。……相当疲れてますね」 「キリエがいてくれたから、まだ楽だったけどね〜」 一体、あいつは何をクレアに要求したのだろうか? 何も知らないアベルは、心の中でカインに問い質したい気分になっていた。 クレアとしてみれば、ただ単に疲れているだけなのだが。 「はい、クレアさん。お水ですよ。……おや?」 キッチンから水を持って時には、クレアはスースーと寝息を立てて眠っていた。 一瞬、起こそうかとおも思ったのだが、 あまりにも満足そうな笑みを零しながら眠っているため、 起こしたくても起こせなくなってしまった。 「……ま、今回のところは多目に見てやるか」 ため息交じりに呟くと、水の入った水をテーブルに置いて、 起こさないようにクレアをそっと抱えた。 そのまま、ドアの開けっぱなしになっている寝室へ運ぶと、 ベッドに寝かせて、そっと布団を掛けた。 「おやすみ、クレア。ゆっくり休んでな」 額にそっと唇を当てると、アベルはそっと微笑み、寝室を後にしたのだった。 |
ついに始まりました、「Cafe de Lune」、
今回はルシアをフィーチャー(?)してみました。
先に本編の方で共演夢を書きたかったのですが逆転してしまいました(大汗)。
この弁解はまたいつか!!
しかしカイン兄さん、こんなに優しくていいのでしょうか(大汗)。
いや、カインだけでなく、イザークもですが。
ここでは敵も味方も関係ないので、こんな感じになります。
予めご了承を。
さて、次回は誰にしましようか。
ゆっくり考えてみます!
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