・キース、お召しにつき、参上いたしました」

「入りなさい」




 部屋の主の声が聞こえ、は任務の報告書を手にして中に入る。

 が、その足も、中に入っている人物の顔を見て止まってしまった。




「失礼しま……、……えっ!?」

「よ、。久しぶりだな」




 中から聞こえる、少しだけ戸惑ったような声に、

は夢を見ているかのような錯覚に襲われた。

それもそのはず。

目の前にいる男は、先日“我が友(トヴァラシュ)”である者から死んだと言われている人物なのだ。

驚かない方がおかしいぐらいである。




! あなた、どうしてここにいるのよ!?」

「まあ、いろいろあってさ。詳しいことはミラノ公に……」

「アスト、あなたがいなくなって、すごくショック受けているのよ!? こうなったら、

何があろうと連絡……」

「それだけは勘弁してくれ! 頼むから、アストにだけは連絡するな!!」

「どうしてよ? 私以上に、彼女、心配しているのよ!?」




 の真剣な目に、いつもなら何も感じないが珍しくタジタジになっている。

 次第に焦りの色が見え始め、言葉が混乱し始めるのがよく分かる。




「俺もしたくても、向こうの俺は死んだ事にしなくちゃなんねーんだよ」

「何なのよ、その理由。私にちゃんと分かる理由を言いなさい」

「ハザヴェルド卿、まずは落ち着きなさい。、彼に紅茶を淹れてさし上げて」

「理由も言えない男に淹れる紅茶なんてないわよ」

「そう言わないで、私も飲みたいから淹れて頂戴」

「……カテリーナが言うなら、仕方ないわ」




 カテリーナの言葉には逆らえず、は仕方なく紅茶を淹れることにした。

 プログラム「ヴォルファイ」に道具を用意させ、手馴れた手つきで紅茶を淹れていく。

 それを受け取ったが口に運び、大きくため息をつくと、

 執務卓に座っているカテリーナに助け舟を出した。




「……ミラノ公、あんたから話してくれよ」

「分かりました。実はですね、……」




 それからしばらく、はカテリーナの説明を一語一句漏らさずに聞いて、

 その様子を、少し離れた位置でが心配そうに見つめていた。



 数分後、全ての事情を話し終え、は少々呆れながらも、

少し納得したようにを見つめた。




、カテリーナの言うことに偽りはないのね?」

「ああ。だから、アストに連絡するのだけはやめてくれ」

「……仕方がないわね」




 ようやく承諾を得て、は安心したようにため息を漏らした。

 これで安心して、ここでの生活を送れそうだ。




「けど、。もし1つでも疑わしい行動をしたら、その時には即効でアストに連絡入れますからね。

覚悟しておきなさいよ!

「……了解」






 今回ばかりは、に勝てそうもない。

 は背中に嫌な汗を感じながら、残りの紅茶を口に含んだのだった。



















ifシリーズにて、元帝国男主さんはAxへ。
そして我が夢主とはもとから知り合いだった、ということで、こんな風にしてみました。
如何だったでしょうか?

ちなみに、幸里さんのサイトで彼の話を読んだら、うまい具合にこの話がマッチしてました(汗)。
これには、私も幸里さんもビックリでした。
可笑しい。私には予知能力の力はないはず……(意味違)!!





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