「……哨戒してたわりには、随分と遅いお帰りね」

「仕方ないだろ。足止めされてたんだから」




 が哨戒に出たのは、今から3時間前のこと。

通常、1時間もあれば戻って来れるはずなのに、ここまで遅くなると心配になってくる。




「足止めされたって……、……まさか、何かトラブルでもあったの!?」

「トラブルっていうのか、何と言うのかな〜。トレヴィの泉に、重そうな荷物を持った婆さんがいて、

あまりにも辛そうだったから家まで運んでやって」

「…………」

「それが終わって戻ろうとしたら、今度はいい年した姐さんが『ハイヒールが折れた』とか言って、

近くの靴屋までおんぶしていって」

「………………」

「その後、今度こそ戻ろうと思ったら、いつも遊んでやってる子供達に止められてよ。

そのままつき合ってたらこの時間に……」

「捕まりすぎにもほどがあるわよ、このお人好し神父―!!」




 いつもなら、ここでの華麗なるどっ突きがの頭に飛ぶはずなのだが、

他の神父とは違い、いとも簡単にかわされるてしまう。

そこはやはり、普通の神父と違うところだ。




「ナイトロードとガルシアと同じにするなよ、

「〜〜〜〜!!」

「さて、ミラノ公に報告でもしてくるか。、お前も付き合え」

「どうして、私が一緒に行かないといけないのよ!」

「まあ、いいじゃねえか。ついでに、ご自慢の紅茶もご馳走になりたいしな」

「……まさか、目的はそれなんじゃないの?」

「さあ、どうだろうな」




 口笛を吹きながら上司の執務室へ向かって歩き出したの後ろ姿を、

は呆れながら、だが半分諦めたように見つめていた。

そして、彼に聞こえないぐらいの声でポツリと呟いた。






「本当、相変わらず優しいんだから、



















事実上では、これが最初に書いたif設定でした。
「彼には逃亡癖がある」と聞いて、ふと思いついたんですよね。
書いてる方もすごく楽しかったです。
そばにトレスとかいたら、置いてかれるんだろうな、フフフッ(ええ)。

ちなみに彼、年上の女性に好かれるらしいです。




(ブラウザバック推奨)