「それ、どんな味するの?」




 太陽の日が落ちた頃、月がきれいに見える夜空の下にいるを、

 たまたま通りかかったが発見したのは、

 今から10分ぐらい前の話だった。

 いつもは紅茶を飲みながらなのに、テーブルに載っかっているボトルを見つけて、

 それに反応するかのように向かいの椅子に腰掛けたのだった。




「試しに吸ってみるか?」

「いいえ、結構よ。口つけてるじゃない」

「こんなもん、拭けばどうにかなるだろう」

「そういう問題じゃないでしょうに……」




 昔から持ち歩いている煙管。

 昔から摂取している香草。

 大分前から気になってはいたが、改まって聞くことでもないかと思い、

 気にしない振りをしていたのだった。




「ほら、これで吸えるだろう」

 手持ちのハンカチで必死にふき取ると、

 はそれをに手渡す。

 さすがにそこまでされると断りきれず、はそれを受け取ると、

 口の中に煙を吸い込んだ。

 が、喉に通す前に咽て、そのまま勢いよく咳き込み始めた。




「おいおい、大丈夫か?」

「大、丈、夫……、……たぶ、ん……」




 喉に通る、どこか爽やかな感じが合わなかったらしく、

 は近くにあったウィスキーを口に運ぶ。

 落ち着いては来たが、少しだけ涙目になっている。




「よくこんなの吸っていられるわね、

「ニコチン摂取していたヤツに言われたくねえよ」

「……私、初めてあなたに会った時には止めてたわよ」

「そんな風に煙管を持ってたら、誰だってそう思うぞ」




 確かに、手馴れたように左手で煙管を持つ姿は、

 誰が見ても喫煙経験者だと思われても仕方がなかった。

 ここで嘘をついても仕方がない。




「もう、10年以上も昔の話よ」

「なるほどな。……で、いつになったら返してくれるんだ?」

「あまり吸い過ぎるのはよくないわよ」

「ニコチンとこいつは別だ」




 そう言いながら、の手から煙管を取り上げると、何振り構わずそれを口に加えた。

 それを見て、思わず声を張り上げそうになったのはである。




「ん? どうした、?」

、私、口元拭いてなかったわよ!?」

「別にそんなの、いいじゃねえか。吸えればいいんだしよ」

「そういう問題じゃないって言うの、この無頓着神父!!」




 思わずどっ突きたい気分になったが、交わされることが分かっていたため止めた。

 そして再び、ウィスキーを口に運んで、

何とかして香草の香りを消そうとし始めたのだった。




「そんなに気に入ったんなら、今度山盛りの香草を土産に買って来ようか?」

「そんなことしたら殺すわよ、






 の見えないところで、が拳を作っていたことなど、

 当の本人は知る由もなかった。



















本編より先に、のスモーカー説を公開しました(笑)。
細かいことは、ROM5〜begining〜で。

飲み物にしても何にしても、私は拭う人です。
でも、気にならない人は本当に気にならないのかもしれませんね。
相手が異性だったら話は別かもしれませんが。

しかし、共演夢、楽しいなあ〜(え)。




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