「あら、何か落ちたわよ」
“外”に出てきたの胸ポケットから、 何かがヒラヒラと落ちるのが見え、 ちょうど入り口付近で再会したがそれにすぐ反応した。
「ん? ……おうっと!」
が手を伸ばした先に、は慌てて気がつき、 あと数センチというところで奪い取る。 その様子に、が不審がるわけもなく、 必死に背伸びして覗き見しようとした。
「何々? 何なのよ?」 「には関係ないものだって」 「関係ないものなら、見せてくれてもいいんじゃなくて?」 「関係ないものだからこそ、見せる必要なんてないだろうが」
自分より15センチほど背の高いに、必死になって背伸びをするに、 何としてでも奪わせないように、手にしているものを上に上げる。 だが、そんな簡単に諦めるではないことを、は忘れていた。
「あっ! あそこに陛下が!!」 「はあ? んなわけ……」
自分から視線を外した隙を見て、はジャンプして奪い取る。 真人類帝国の教皇が“外”にいるわけもないのだが、 思わず視線を動かしてしまったのは、やはり相手が相手なだけに仕方がないことだ。
「あっ、この野郎、勝手に奪いやがって!!」 「隠しているそっちがいけないのよ。……ん?」
奪い持ったものを見るなり、は思わず動きを止めた。 正確には、彼が隠そうとしていたものが大したものじゃなかったことに呆れた、 と言ってしまってもいいかもしれない。
「何だ、単なる写真じゃない。……やけに不機嫌そうな顔ね」 「俺は写真を取られるのが大嫌いなんだ」
再びから奪い取ると、それを胸ポケットにしまい、目的地に向かって歩き始める。 その後ろ姿を見ながら、は1つため息をつきながら追いかける。
「だからと言って、あんなムスッとしなくてもいいじゃない」 「無理やり帝国服着せて、何するのかと思ったらこれだ。俺が写真嫌いなこと知っておきながら、遊びやがって」 「相手はそんなつもりで撮ったんじゃないと思うけど?」 「それでも嫌だったんだよ」
写真と似たような不機嫌そうな表情なまま、は目的の場所までたどり着いた。 そのまま扉をノックしようとしたため、は慌てて彼の耳を引っ張った。
「そんな顔のまま、彼女に会おうとするあなたがいけないのよ。ほら、笑顔笑顔」 「お前みたいに行くわけないだろう」 「だったらせめて、その不機嫌極まりない顔だけはやめなさい。彼女に失礼よ」 「……まあ、それもそうだな」
の言うことは、確かに一理ある。 せっかくここまで来たのに、相手の信頼度を失うわけにはいかないからだ。
ここは大人しく、彼女の言うことを聞いた方がいい。 はそう思い、大きく息を吸ってゆっくり吐き、 表情を固くし、扉をノックしたのだった。 |
が写真嫌いということで浮かんだ話でした。
がメチャクチャお茶目なところは見逃して下さい。
書きたかったんだから、仕方がありません(え)!!
しかし、本当にそばにアベルがいたら妬いてたでしょうね。
こんだけ仲がよけりゃあ、ねえ(汗)。
すまんね、アベル。
今回だけは許してくれ(逃)!!
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