「眠い……」 まだ昼間だというのに、店に現れたクレアは、まるで何かから逃れているように見える。 「明け方まで報告書書いて、その後すぐに朝礼にスフォルツァ中将への御用聞き、そして自主トレ……。 「煩くて眠れなくて、ここまで来た、ということね」 続きをルシアが言うのに頷くのが精一杯なようで、 クレアはそのまま、カウンターにうつ伏せになってしまった。 この様子だと、かなりの重症だ。 「そんなに眠いのであれば、宿舎に戻ったらどう?」 「私が戻ったら、周りが騒ぐでしょうに」 「確かにそうだけど……」 「ああ、だったら、アベルを呼んでくるわ」 「アベルを? どうして?」 「理由はいいから。とりあえず、そこでそのまま眠ってなさい……って、もう眠ってるわね」 スーッという音を立てて眠るクレアに、ルシアは思わず苦笑してしまう。 そして、カウンター越しにある電話に手を取ると、アドレス帳を見ることなく、 番号を入力していった。 「ああ、アベル。私だけど……」 「全く、本当にどこでも寝れる方ですね〜」 「いつもこうなの?」 「ええ。趣味が寝ることなの、よくご存知じゃないですか」 「それもそうね」 ルシアに呼び出されたアベルの顔は、呆れたというより諦めに近かった。 それを知ってか知らぬか、クレアは未だ、幸せそうな顔で眠っている。 「こんな調子で、午後は大丈夫なの?」 「時間を見て起きるから問題ありませんよ。彼女、どんなに熟睡していても、ちゃんと決まった時間 「そう? なら、いいけど。……ねえ、アベル。近頃、彼女に無茶させてはないでしょうね?」 突然の言葉に、アベルは何かにど突かれたかのように、目を大きく見開いた。 それを見たルシアが、そこに追い討ちをかけるかのように責めていく。 「普通に徹夜開けにしては、すごく熟睡しているから、ちょっと不審に思っただけなのだけど……、 「いや、そんなわけないじゃないですか! てか、何を例えているのか、私にはさっぱり」 「あら、何のことかぐらい、十分理解しているんじゃなくて? それとも、ちゃんとした説明が必要?」 「いいい、いえ、結構です! あっ! 私、クレアさんを連れて行きますね! お〜邪魔しました〜!!」 まるで、何かから逃れるように、アベルは未だ熟睡中のクレアを起こさないように抱えると、 そそくさと出入口まで行き、扉の奥へと姿を消した。 ルシアはアベルが去った後をしばらく見つめていたが、ふと何かを思ったのか、 かすかに笑って呟いた。 「……私もだんだん、カインに似てきたかしら?」 |
睡眠が趣味なクレア。
なので、少しでも眠れないと死んでしまいます(汗)。
絶対に昼休憩は昼食をとっとと取って、眠っているに違いありません。
アベルがルシアだけなのに俺様じゃないのは、上にキリエちゃんやリエルちゃんがいるからだと思います。
まあそれでも、俺様になる時はなりますけど。
てかこの場で俺様は、あまり似合わないかも。
こっちの方が笑えます、フフフフフッ(笑)。
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