アベルが個室に戻った時、クレアはすでに爆睡していた。

 相当会議に神経を使ったらしい。

 

 

「側にいるのが陛下だけならよかったが、メディチ大将がいたからな」

「ああ、それもそうですね」

 

 

 しかし、同席しているのが自分だけならいいもの、

 トランディスも一緒だというのに、この気の抜けようはどうにかならないものか。

 そう言いたげなアベルの表情を、目の前の情報将校が見逃すはずがなかった。

 

 

「妬くなよ」

「なっ! 何で私がトランディスさんに妬かなきゃいけないんですか!?」

「そう隠すなよ。全く、演技が下手な奴だな」

「だから、そんなんじゃないですってば!」

「てかお前、あまり大声出すと起きるぞ」

 

 

 つい意地を張ってしまい、アベルはハッとなって口元に手を当てる。

 しかし当の本人は、特に気にすることなく、小さな寝息をしている。

 

 

「相変わらずの熟睡力ですね」

「だな」

 

 

 そう言いながら、トランディスは大きく伸びをすると、

 腰を上げて、個室の扉に向かって歩き出した。

 

 

「おや、どこに行くんですか?」

「ちょっと、外の空気吸って来る。その間、2人でゆっくりしてろ」

「それじゃあまるで、追い出すみたいじゃないですか」

「違うのか?」

「違います! と言うか、どうしてそうなるんですか!」

 

 

 そんなアベルの叫びを背に、トランディスは個室を後にした。

 そして、焦る彼の顔を思い出し、ククッと笑う。

 

 

「本当、面白い奴だよ、ナイトロードは」

 

 

 

 











寝れるのでれば、それが例え上司の前であろうと関係ないクレア。
なので、アベルが妬くのも何となく分かると思います。
本当は寝顔を独り占めしたいんだろうし、フフフフフッ(笑)。
まあ、クレアが寝なければいいだけの話なんですけどね。

トランディスは、日頃からアベルをからかっては楽しんでいるんじゃないかと思います。
そして、それにクレアが巻き込まれると。
そこがトランディスらしくて好きなんですけどね。
だんだんトランディスとのやり取りが楽しくなってきてる紫月なのでした(笑)。





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