今日は店が定休日の日だった。 だから、久々に買い物へ出かけようと、キリエはリエルに黙って、こっそり出てきた。 彼女と一緒にいては、自分が欲しいものを我慢して、 彼女の分ばかり買ってしまいそうだったからだった。 何件か立ち寄り、欲しいものを確実に手に入れ、心をホクホクにして帰路へ向かおうとした途中。 ゆっくりと沈む夕日があまりにもきれいで、思わず足を止めてしまった。 もっときれいに見えるところへ行こうと、密かに気に入ってた丘へと足を運ぶ。 丘へ続く坂を登り、目的地へ向かう。 だがその途中、そこに先客がいることを知り、思わず足を止めてしまった。 目の前にいる人物を、キリエは知っていた。 ここウェステルに派遣されたばかりの大佐で、昨夜、アベルが店へ連れて来ていた。 店主であるルシアの古くからの友達らしい。
夕日に照らされた長い茶色の髪が、さらさらと風になびいている。 仕事の息抜きで訪れたのか、身に付けているものは軍服だった。 話し掛けたい。 けど、それが出来なかった。 こんな時、近くにリエルがいたらと、ふと思ってしまう。 リエルは人見知りが激しいが、慣れてしまえば逆に相手に甘えてしまう少女だった。 現に昨夜も、しばらくキリエの影で大人しくしていたのだが、 時間が立つにつれて、彼女はクレアの側で興味深そうに彼女の話に耳を傾けていた。 キリエはそれを見ながら、姉らしく、毅然と座っているだけだった。 クレアが去ったあと、リエルが嬉しそうな顔をしているのを、 キリエは少しだけ、羨ましそうに見つめていた。 (私も……) 足を一歩、また一歩と進めていく。 (私も……) 距離を、少しずつ縮めていく。 (私も……、この人と……) 影が、徐々に、大きくなっていく。 (私も……、この人と……、仲良くなりたい) あの夕日が沈む前に。 そう思った時、キリエはいつの間にか走り出していたのだった。 |
初期編最後のお話でした。
でも実はこれ、2番目に完成した話だったりします。
少し加筆・修正はしてますけどね。
ウェステル編はそういったものが多々あるので、またその都度説明を。
キリエちゃんとクレアは、いい姉妹という感じかなと思います。
それはリエルちゃんも同じですけどね。
私がただ単に、イシュトー姉妹ファンなだけなのですが(え)。
だって2人とも、可愛いんですもん!!
と、いうことで、次回はこれからまた少し立ってからの話になります。
時間軸は結構いい加減です(汗)。
なので、あまり気にせず読んで下さると嬉しいです。
その時には、また報告を……。
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